1 神経系疾患
脳出血
中年以降、主に高血圧が原因となって起こる症状。
初期に頭痛、嘔吐などを伴い、急速に進行します。
片麻痺(体の右半分もしくは左半分の麻痺症状)が起こり、
強い意識障害も伴う場合があります。
脳軟化症
脳のある部分で血行が途絶えて脳組織が死に、軟化・融合して空洞となる症状。
脳血栓や脳梗塞が原因となって発生し、
健忘症、言葉のもたつき、老年性痴呆、手のふるえ、歩行障害、寝たきりなどの症状を伴います。
言語障害
何らかの理由で、日常の言語活動に支障をきたすもので、
失語症と構音障害の二つがあります。
・失語症 |
| 言葉の意味が理解できない感覚性失語症と、
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| 理解できても表現できない運動性失語症に分類されます。
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・構音障害 |
| ろれつが回らなくなりますが、言葉の理解は出来ます。
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| 発生をするための筋肉・神経に原因があります。 |
チック症
学童期から思春期前にピークを持つ、無意識で不規則な異常運動を指します。
主に、まばたき、歯ぎしり、口ゆがめ、せき払い、首振り、肩引っ込めなどの
顔面や上半身の運動として現れることが多い症状です。
多くは神経・心理的要因によって起こります。
顔面神経麻痺
中枢性麻痺と末梢性麻痺の二つがあります。
・末梢性 |
| 左右いずれかだけに出て、麻痺側の額にはしわが寄りません。
また、目を閉じられない、口が横に引っ張られたようになる、
口笛が吹けない、水が飲めないなどの症状を伴います。
末梢性麻痺には鍼灸治療が特に有効です。
発症後、早ければ早いほど鍼灸治療の有効性は高まります。
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三叉神経痛
顔面の片側に発生しやすく、主に中年以上の女性に多く見られます。
原因は不明ですが、洗顔・髭剃り・会話・食事などによって
持続しない発作性の激痛が走ります。
間欠期に全く、もしくはほとんど痛みがないのも特徴です。
坐骨神経痛
腰椎椎間板ヘルニア、変形性腰椎症、腰椎分離、辷り(すべり)症、
腰部脊椎管狭窄症、梨状筋症候群、糖尿病などが原因で発症し、
腰上部、尻から足の先までのあちこちに持続性の激痛を伴います。
肋間神経痛
左胸の第5〜9肋骨の肋間(肋骨と肋骨の間)に発生しやすい症状で、
肋骨や脊椎の疾患、帯状ヘルペス、外傷などが原因で発症します。
肋間神経によって作用する身体部位(胸から背中にかけての左脇の筋肉)に痛みを感じ、
特に深呼吸・あくび・せきなどをすると痛みが激しくなります。
2 消化器疾患
胆石症
女性に多く見られる、胆のう・胆管・肝臓の中などに結石が出来る病症。
自覚症状のない場合と、激しい腹痛で発症してわかる場合とがあります。
発作は夕食後、数時間後の寝入りばなに多く起こります。
3 運動器疾患
スポーツ障害
野球肘
野球少年(13〜17歳)に多く見られる症状で、
肘を動かしたときに痛みを感じたり、腕を延ばしたり縮めたりすることが辛くなったりします。
ウォーミングアップ不足での負荷のかけすぎ、トレーニング過多などが原因です。
テニス肘
テニス愛好者、特に中年以降の人に多く見られる症状で、
肘の外側に、押されたり動かしたりした時に痛みを感じます。
また、タオル・雑巾を絞るときにも痛みを感じます。
ジャンパー膝
バスケットボールやバレーボールのように、強いジャンプや急制動を繰り返す競技、
長距離ランニングなどの、ひざの伸屈機能に強い負担を掛ける競技をする人に多く見られます。
膝蓋骨(いわゆる『ひざの皿』)を中心に痛みが走ります。
4 循環器疾患
心悸亢進
動悸の一種で、心臓の拍動が徐々に高ぶり続け、胸が苦しい症状を言います。
心臓神経症
心臓の異常によらず、精神の不安やストレスなどが原因で発生します。
女性に多く、脈拍の亢進(次第に早くなり続けていくこと)や動悸、
心臓部の痛み、のぼせ、冷え、頭痛、頭の重みなどを伴います。
動脈硬化症
高血圧・高脂血症・糖尿病などにより発生しやすくなる症状で、
遺伝的素因がある場合も多く見られます。
狭心症の原因になることもあります。
6 泌尿器疾患
ネフローゼ
全身に見られるむくみ、高度のタンパク尿、血中タンパクの減少、高脂血症の
4つの症状を主に伴います。原因不明であることが多く、
小児・青年期に発病することの多い難治性疾患の一つです。
腎盂腎炎
大腸菌などによる感染症。頻尿、排尿痛、尿のにごり、高熱、腰痛などを伴います。
尿路結石
尿を作り、排出する経路に結石が出来る症状。
上部尿路結石(腎結石・尿管結石)と下部尿路結石(膀胱結石・尿道結石)とがあります。
排尿時に激しい痛みを伴う場合がありますが、その他の多くは自覚できません。
7 内分泌疾患
バセドウ氏病
女性に多く見られる、甲状腺の機能が異常に活発になることで起こる症状を指します。
眼球突出、甲状腺腫、頻脈、息切れ、発汗、体重減少、手足のふるえなどの症状を伴います。
8 外科疾患
よう・せつ
俗に『おでき・できもの』と呼ばれる皮膚疾患で、
毛穴や皮脂腺で細菌が繁殖して、急性・化膿性の炎症を言います。
単発のものを『せつ』、複数が融合したものを『よう』と言います。
リンパ腺腫
けがや病気による感染で、リンパ節に化膿菌が侵入して起こる腫れを言います。
刺すような痛みや皮膚の赤みを伴います。
椎間板ヘルニア
椎間板(背骨と背骨の間に挟まってクッションの役割を果たす板状の組織)のずれにより
神経の幹である脊髄が圧迫されて起こる症状の総称。
外傷がきっかけとなって発症するものと、
加齢による老化性の変形で発症するものがあります。
腰椎(腰付近の脊椎)で起こると腰痛、坐骨神経痛を起こし、
頚椎(首付近の脊椎)で起こると上肢の神経症状
(首や肩のこり・痛み・しびれ、筋力低下、冷感など)
または下肢が硬直する麻痺を起こします。
9 皮膚病
ヘルペス
水疱を伴う皮膚疾患の一種で、ウィルスによって起こります。
主に肋間神経の領域(胸から背中に掛けての胴体上部)の片側に
赤い小さな水疱が出来、痛みや知覚鈍磨/過敏を伴います。
10 婦人科疾患
子宮内膜炎
細菌の侵入によって、子宮内を覆う粘膜に起こる炎症。
初期には出血があり、次第に化膿・発熱し、押されたり、動いたりすると痛みを感じます。
炎症が激しくなると粘膜が赤く腫れ、不快感や下腹部痛を伴います。
子宮筋腫
良性の腫瘍で、妊娠経験の無い人や、30〜40代に多く見られます。
貧血、頻尿、月経過多/困難を伴い、腰痛の原因になることもあります。
卵巣嚢腫
卵巣に出来る腫瘍で、漿液性(しょうえきせい)膿腫と多房性膿腫の二つに分類されます。
漿液性(しょうえきせい)膿腫は40歳前後に多く見られ、両側の卵巣に発生します。
良性腫瘍から悪性へ変化することもあるので注意が必要です。
多房性膿腫は30代に多く見られ、片側の卵巣で発生し、悪性化はあまりしません。
更年期障害
卵巣機能が低下することによって起こる、自律神経失調症の総称です。
非常に多様な複数の症状がその時々によって発生するので、
医学的に一つの病名を導き出すのが困難(不定愁訴といいます)となり、
『更年期障害』と総称される形になっています。
不定愁訴で見られる症状としては以下のようなものがあります。
・精神・神経系
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| 頭痛、めまい、耳鳴り、不眠など
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・血管運動神経系
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| 熱感、冷え性、のぼせ、動悸など
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・知覚神経系
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| しびれ感、知覚過敏など
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・その他
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| 肩こり、発汗、疲労感など |
また、月経周期の異常なども多く見られます。
妊娠中毒症
妊娠が主因となって起こる体内中毒症を指します。
つわり、高血圧症が代表的な症状で、むくみやタンパク尿などを伴うこともあります。
12 目・耳・鼻疾患
網膜炎
網膜が、炎症、混濁、白斑(白色の斑点)、出血などの機能障害を起こしたもの。